歯ぐきがやせる・・・その原因
歯肉が減って歯が長く見える・・・、歯がしみる・・・、歯と歯の間の隙間が大きくなってきた・・・
こんなお悩みをお持ちの方は実はとても多くいらっしゃいます。でも、たいていの方はこれは病気ではなくて自然におこることなのではないか・・・と思っています。
しかしながら、そのほとんどは歯周病や過剰な咬合力、強いブラッシング圧が原因でおこっているのです。
これらの原因がそれぞれ単独で悪影響を及ぼしている場合もありますが、たいていの場合は複雑にからみあって存在しているのでとても厄介なのです。
そのような場合は原因を一つ一つ丁寧に治療しなくてはなりませんので、治療は長期にわたる場合もあります。
歯周病になると原因である歯周病菌が顎の骨や歯肉を破壊する毒素を出しますので、骨や歯肉が減少します。治療としては歯科で専門的なクリーニングをしっかり受けて、ご自分でも正しいクリーニングを行っていくことで歯周病菌は減少します。しかし、歯周病が良くなったからといって1度失った骨や歯肉の組織は元のようによみがえることはないのです。
もちろん、組織を元の状態に近い状態に戻す組織再生療法といった特別な方法もあります。しかしながら、この方法は移植や骨を作る手術となりますので、適応出来るケースは限られますし、非常に難易度の高い術式であることも事実です。
また、過剰な咬合力も歯肉や骨を減少させる重要なリスクファクターであると考えられます。
過剰な咬合力が、歯ぎしりやくいしばり、または不正な咬み合わせによって歯にかかると、その周りの組織にダメージを与えます。すると顎の骨はどんどん吸収してしまい、結果歯肉も減少してしまうのです。
歯周病と過剰な咬合力が両方ある場合は病気の進行が早く、重症化しやすいのも特徴です。
この場合は歯周病の治療と咬み合わせの改善や歯ぎしりやくいしばりに対する治療も必要になりますので長期的な治療と管理が必要不可欠となります。
そして、意外と多いのがオーバーブラッシングによって歯肉が退縮してしまう状態です。これは歯ブラシを歯に当てる力が強すぎて歯肉が減少してしまったり、歯の根元が削れてしまうのです。
このオーバーブラッシングが原因の場合は適切な歯みがき圧で正しいブラッシングに治すだけで自然と歯肉が元にもどる場合も多いので、歯医者さんで歯ブラシの固さや種類をみてもらったり、正しい歯みがきの仕方を習うことが重要です。
この場合は自分ではなかなか気がつきにくく、また、しっかり歯磨きをしているので問題は無いであろうと思いがちですので歯医者さんでの定期検診などに行ったときに発見されるケースが多く、発見が遅れてしまう場合も多いです。
歯肉や骨が痩せてしまうのは年を重ねれば仕方の無いことで、病気ではないだろう・・・と思っている方がとても多いのですが、実は原因は様々な所に隠れているのです。
そして一度失ってしまった組織はもう自然にはもとにもどりませんのでこれ以上減らさない為の治療が必要になってきます。
皆様も、鏡をみたときに、歯肉が痩せてきたように感じたら、まずは歯医者さんに相談してみて下さい。