歯内療法における歯髄温存療法について
歯内療法の3つのカテゴリーの1つ目である歯髄温存療法についてご説明いたします。
まず、歯髄温存療法と一言で表されますが様々な状態の歯の神経に対して行われ、虫歯がどこまで波及し、歯の神経に炎症が及んでいるかという段階ごとに分類されています。
1: Stepwise excavation(暫間的間接覆髄法)
虫歯に感染した歯質を全て除去すると歯の神経が露出してしまうため数回かけて虫歯を除去し歯の神経の露出を避け、神経を保存する治療法
2: Indirect Pulp Capping(間接覆髄法)
虫歯がかなり進行しているが神経の露出がない場合、神経に近い深さまで虫歯を除去後、封鎖し神経を保存する治療法
3: Direct Pulp Capping(直接覆髄法)
虫歯がかなり進行し虫歯を除去したら神経が露出した場合に神経は除去せずに封鎖する治療法
4: Partial Pulpotomy (部分断髄法)
虫歯がかなり進行し歯の神経の一部に細菌感染が疑われる場合に感染している一部の神経を除去し細菌感染していない神経を保存する治療法
5: Full Pulpotomy (断髄法)
歯の神経の歯冠部(上部の大部分)全ての神経に細菌感染が疑われる場合に歯冠部の歯の神経を除去し歯根部の神経は保存する治療法
虫歯が深く進行した場合、歯の神経を全て除去するのか、それとも歯髄温存療法で残せる神経は残すのか、もし歯髄温存療法を行うのであればどのような方法が可能なのかという判断は非常に難しく、科学的、生物学的根拠に基づいた治療法を選択し、それを技術的に行うことができる歯内療法専門医による治療が必要であると考えます。