プラスチックの詰め物はだめになりやすいの?
むし歯になって歯を削ったところにプラスチックの詰め物をしたことはありませんか?
実際、保険治療では小さなむし歯や、被せ物が必要でない場合に、プラスチックの詰め物を行います。
詰め物は、被せ物と違って型取りをする必要がないので、その日のうちに歯が治るのも大きなメリットです。
しかし、むし歯の範囲が大きかったり、噛む力が強くかかる所はプラスチックでは適応しませんので保険の場合銀歯となることが多く、審美的に問題が出る場合もあります。
また、プラスチックの詰め物が変色し、黄ばんだり、ぽろっと外れ、その下がむし歯になっている・・・なんていう光景もよく見かけます。
このようなことを聞くと、やはりプラスチックは弱いな・・・とか、もたないんじゃないか・・・というイメージをお持ちになる方も多くいらっしゃると思います。
はたして、実際はどうなのでしょう・・・やはり、プラスチックの詰め物は持ちが悪いのでしょうか?
先に結論から申しますと、答えはNOです。
現在、多くの種類のプラスチック材料が存在し、その物性は昔に比べてはるかに良くなっています。
例えば、、、強度が高く、奥歯の銀歯の被せものの代わりになる物や、前歯に使用する透明感の出る物、絶妙な歯の色を表現したり、特徴を出すような材料など、本当に様々です。
それではなぜ材料の物性が向上しているのにもかかわらず、詰め物が外れてしまったり、着色して黄ばんできたりするのでしょうか?
プラスチックの詰め物は材料と歯の接着力がとても重要です。接着力を維持するには水分のシャットアウトがとても重要になります。(少しでも水分が入ると接着力が著しく低下し脱離の原因になります。)
また、歯に行う様々な前処理、材料の硬化処理や研磨処理・・・こういった煩雑な治療ステップがきちんと行われて初めて材料と歯が接着できるのです。
言い換えれば、詰め物をきちんと接着させ、長期にわたって機能させる為には、材料の取り扱いや、歯に行う処理にいたるまで、ほんの少しのエラーもおこさないようにしなくてはならないのです。
また、同じ樹脂材料であっても、成分の配合の割合や材料の種類によって使う場所や用途がそれぞれ異なるので、材料の選択も詰め物を長持ちさせる重要なファクターになるのです。
ということは、、、適した材料を選択をして、各ステップにエラーが起きないように細心の注意を払って行えば変色や脱離等のトラブルは防げるということです。
しかし、実際は、、どんなに水分をシャットアウトしようとしても、患者様のお口の中から自然と唾液は出てきますし、お口の中に常に存在する唾液を完全にシャットアウトする事は難しいです。
また、保険治療の中でプラスチックの詰め物を行う場合は、コスト的な問題や治療時間との兼ね合いで材料や前処理等の時間やステップを簡略化せざる得ないのが現実です。
こういった現状がプラスチックの詰め物の劣化や脱離を招いているということになります。
例えば、当医院でもよく行っている自費治療の詰め物治療の場合、自由に適した材料を選択し、色を何色も重ねて歯の色のグラデーションを再現し、各処理工程も時間をかけて行うことが出来ますので、接着機能を十分に発揮して、より良い物性+審美性を兼ね備えた詰め物治療が行えます。
この事からわかるように、詰め物治療は適した材料ときちんとしたステップを踏めば、長持ちしますし、とても審美的な治療と言えます。しかしながらその一方で、とてもテクニカルで煩雑な処理工程があるためにエラーが生じてしまうと、脱離等のトラブルが起こってしまうのです。
皆様も取れかかっていたり、変色している詰め物はありませんか?ある場合はその下がむし歯になっている場合もありますので、早めに歯医者さんでチェックしてもらってくださいね。