歯と健康
食欲の秋という事で美味しい物がたくさんあってついつい食べ過ぎてしまいます
美味しい季節の物をしっかり咬んで味わうということは、若い頃は当たり前だと思っていましたが、実はとてもありがたい、幸せなことなんです
今回は、私がそのことを実感した、ある出来事をお話ししようと思っております。
実は、私の祖父は私と同じ歯科医師で、なんと、80歳まで現役の歯科医師として医療に携わっていました。
元気いっぱいに地域の皆様の歯の治療をしていた祖父は、私のあこがれの大先輩で、私も小さい頃から祖父の仕事場で遊んだり、仕事ぶりをみていたからか、いつの間にか祖父と同じ歯科医師を目指し、現在に至る訳なのですが・・・
つい数ヶ月前、祖父が他界しました。93歳で大往生。でも、私は祖父に少し心残りがあるのです。
あんなに元気いっぱいで、食べる事が大好きだった祖父・・・歯科医師でしたので自分の歯のメンテナンスも自分でしっかりと行い、何でも美味しそうに食べていました。
しかし、病気をきっかけに、みるみるうちに歯が悪くなり、入れ歯となりました。
すると、とたんに食べられるものが減って、今まで何でも食べていたのに、少し食べにくそうに食事をとるようになってしまったのです。
他界する直前にお見舞いにいったところ、入れ歯も合わなくなっており、口から食事を取れない状態でした。
あんなに食べる事が大好きだった祖父が食事に興味が無くなってしまい、元気がなくなってしまったのです。
そこから1ヶ月くらいで祖父は他界してしまいました。
私がちゃんと入れ歯を修理したり調整してあげればよかった・・・、そのまえに歯を失う前にきちんとクリーニングやケアをしてあげればよかった・・・と、悔やんでも悔やみきれません。
こういった状況を目の当たりにして、きちんと口から食事を取ることや、食べる楽しみがいかに大切な事であるということを強く実感しました。
ですから、私は、若いころからの歯のケアや、小さい頃からの歯磨きの習慣はとても大切だと思っております。
少しでも長く自分の健康な歯で食事をとることは、大げさかもしれませんが、人の寿命をも左右しうるのではないでしょうか・・・
そして、私は歯科医師として、患者様にずっと健康な歯で美味しいものを味わい、幸せを感じてほしいという思いから、健康な歯を保つことの重要性を伝えていかなければならないと思い、日々診療をしているのです。
食欲の秋、皆様も美味しい物をしっかりと自分の歯で味わって堪能して下さいねツꀀ