唾液の知られざる力
前回、虫歯にかかりやすさに唾液が関係しているとお話しさせていただきました。
今回は唾液についてもう少し詳しくお話いたします。
虫歯になりにくい人は唾液の出る量が多く、唾液の力で虫歯菌の攻撃から歯を守ります、逆に唾液の出る量が少ない人はいくら食生活に気をつけても、歯磨きを頑張っても虫歯になりやすくなってしまいます。
実は、食べたり飲んだりすると虫歯菌が糖を取り込んで酸を作り、歯を攻撃するようになります。そのせいで歯の表面から大切なカルシウムイオンとリン酸イオンが溶け出してしまいます。この現象を歯の脱灰といいます。
その時に唾液が大活躍します。虫歯菌に攻撃され、溶け出してしまったカルシウムイオンとリン酸イオンを歯に戻してくれるのです。
この唾液の力で歯が自然修復する働きを再石灰化といいます。
虫歯予防だけでなく、唾液の知られざる力はまだまだあります。
例えば、唾液がたくさん出た方がお口の中の環境を清潔に保て、虫歯菌以外の病原菌もやっつけてくれますし、口に残った汚れを洗い流したり、食事が唾液と混ざることで消化されやすくなったりと、良い効果がたくさんあるのです。
では、どうしたら唾液をたくさん出すことが出来るのでしょうか?
みなさん、食事中、早食いはしていませんでしょうか・・・
早食いは唾液の大敵です。よく噛んで食べることで唾液がじわじわと出てきます。また、唾液と食事がきちんと混ざり、固まりとなって飲み込むことで消化を助けます。
ですので、食事は唾液のことも考えて、一口一口ゆっくりよく噛んでいただくようにしましょう。
この食べ方だと、満腹中枢が刺激されてダイエット効果にも繋がりますよ。
次に、皆さん夜寝ている時に口を開けて寝ていたり、普段も鼻ではなく口で息をしていたりしませんでしょうか?
口呼吸の原因として鼻つまりやいびき、噛み合わせの問題があります。
特に寝ている時は唾液の分泌量が著しく低下するので、ただでさえ虫歯や歯周病菌が活発に活動しやすいのですが、鼻つまりやいびきなどによって口を開けて呼吸しているとお口の中はますます乾燥し、虫歯や歯周病が進行しやすくなります。ですので、いびきをかいている人や常に口を開けて呼吸している人は歯医者さんに相談してみて下さい。
また、前歯が出っ歯で唇が常に閉じていない人も、前歯の歯ぐきが炎症を起こしたりしますので、歯並びの改善が必要な場合もあります。
唾液にこんなすごいパワーがあったなんてびっくりしませんか?
唾液をたくさん出して皆さんもお口の中から健康になりましょうね。