妊婦さんと歯周病
最近、妊婦さんが歯ぐきの不快感を訴えて来院されました。
その妊婦さんは妊娠4ヶ月で現在つわりの真っ最中。歯ブラシを口の奥の方に入れたり、歯磨き粉の味で吐き気が襲ってくるため、歯ブラシがきちんと出来なかったとのこと。妊婦さんのお口の中を診てみると、歯ぐきは赤く腫れていて、触るとすぐに出血してしまう状態でした。
妊娠中はエストロゲンという女性ホルモンが増え、歯ぐきのトラブルがおこりやすくなります。女性ホルモンの影響で、歯ぐきの溝(歯周ポケット)にいる普段は害のない細菌が増えて炎症を引き起こすのです。まして、つわりがきつくて歯ブラシがきちんと出来ない場合はますます細菌が活発になり、歯周病が悪化してしまいます。
妊婦さんは本当に辛そうで、自分で歯ブラシをしたくても出来なくて、しかも歯ぐきの痛みや不快感が相当ストレスに感じてらっしゃるようでした。つわりで歯ブラシがきちんと出来ない場合、残念ながら、歯ブラシをしなくても良いですよ・・というわけにはいきません。やはり、自分で出来るクリーニングで、歯磨きにまさる方法はないからです。
そこで私たちは、その妊婦さんに歯ブラシの仕方を工夫することでなんとか歯ブラシを出来るようにしましょう!!と提案させていただきました。
例えば・・・長い時間歯ブラシが出来ない場合は、超音波歯ブラシなどを利用して短時間で効率よく歯の汚れを落とします。超音波歯ブラシはメーカーで差がありますが、ソニッケアなどですと、手で磨く場合の汚れの除去率が約4倍にもなるので、通常手で磨く場合だと10分~15分かけてきちっと磨かなくてはなりませんが、超音波歯ブラシだと2分程度ですみます。
また、歯ブラシの大きさも出来るだけ小さい物を選んだりすることでお口の中の違和感が軽減されます。歯磨き粉の泡や味が駄目な場合はジェル状の、泡があまりたたないタイプの物を選ぶか、歯磨き粉は使用しなくても構いません。そして、ささいなことですが、頻繁に食事の後にお口をゆすいだり、歯医者さんに定期的にチェックをしてもらうことでもだいぶ症状は改善します。
歯医者さんに定期的にクリーニングに行くことで、自分では掃除できない歯周ポケット内の汚れを除去してもらえますし、歯ブラシの仕方をチェックしてもらうことが出来ます。
妊娠中に歯周病に感染すると、早産のリスクが高まりますので妊婦さんは赤ちゃんの為にも頑張ってお口の中を綺麗に保たなくてはなりません。つわりの時などの辛い時期は自分一人で頑張ろうとするとかえってストレスになってしまいますので、歯医者さんにどんどん相談をしたり、クリーニングをしてもらったりして辛い時期を乗り越えましょう。
代官山デンタルサロンに来院されたその妊婦さんも、超音波歯ブラシに切り替えたり、泡立たないジェル状の歯磨き粉を使用することで日々のクリーニングをなんとか乗り切っていらっしゃいます。そして、歯の表面に付いている細菌を除去して、汚れが付きにくくなるPMTCという専門的な歯のクリーニングを受けられたことで、歯ぐきの状態も健康になりました。
その妊婦さんも、お中の赤ちゃんの為にもお口の健康を維持します!!と言って前向きに歯ブラシに取り組まれて、日々頑張ってらっしゃいます。皆様も身近にいる妊婦さんが歯のトラブルを抱えていたら、一人で悩まずに歯医者さんに相談しにいくように勧めてあげてくださいね。